この庭について
東京都庭園美術館は、1933年に朝香宮家の邸宅として建てられた旧朝香宮邸を活用した美術館です。アール・デコ様式の本館がよく知られていますが、敷地には「芝庭」「日本庭園」「西洋庭園」という3つの庭園エリアがあり、建物をめぐるように異なる風景が配置されています。
その中で日本庭園は、敷地の奥へ歩みを進めた先に現れる、もっとも内省的な場所です。水面、橋、石、植栽、そして茶室「光華」が組み合わさり、都心の美術館でありながら、急に時間の流れが遅くなるような感覚があります。
この庭の魅力は、単に「和風の庭がある」ことではありません。アール・デコの洋館、開放的な芝庭、くつろぎの西洋庭園を経て、日本庭園に入ることで、同じ敷地の中に複数の文化と身体感覚が重なっていることがわかります。建築を鑑賞したあとに庭へ出ると、室内の装飾や光の余韻が、池の反射や木陰の静けさへ自然につながっていきます。
